[おおあめで]
おおあめでうまれてはじめてひなんした。こわかったけどわくわくもした。
被害の甚大さを鑑みれば、不謹慎なことだけど。
わたしの家にはテレビがないのだけど、
避難先は3人しか住んでいないのに、5台もテレビが有り、
アナウンサーがくり返し、云っていた。
「歴史的な大災害が迫っております!」
歴史的な大災害。
記録的な豪雨。
前代未聞の頻発する地震。
毎年毎年、際限なく暑くなってゆく気候。
戻ってきたわたしの家には相変わらずテレビがないので、
介助者に聞いたのだけど、
ニユースで、
「殺戮的な暑さ」と云っていたそうだ。
殺戮的な暑さ……。
そうそう思いつけない表現だ。
でも、この暑さで死ぬひとが続出中の
最近の状況を考え合わせると
的確な表現だと云えるかも知れない。
わたしは虚弱体質なので、
介助者たちがみんなして、
日中の陽のあるうちは外に出して呉れない。
仕方がないので、
昼間は、
〈囚われの姫君ごっこ〉をしながら、やり過ごしている。
「雪が降ればいいのにな……」
あまりの暑さに辟易として、思わず呟く。
すると、介助者に云われた。
「いまどき、雪が降って悦ぶのなんてミカヅキさんかイヌか子どもくらいですよ。さすが、『永遠の思春期』!」
そう云えば、おおあめでひなんしようとしていたときにも、妙齢のご婦人に云われたものだ。
「あらあら……いまから学校? 今日は休みって云ってたでしょ?」
いずれにせよ、
地球が心配!