車椅子バスケットの世界大会を観に行った。これは北九州市で毎年開かれているもので、わたしは、施設から去年も見に行った。
今年も施設から車椅子ごと車に乗って、もう独りの入所者と、職員二人の四人で見に行った。
今はホットモットと名前を替えた旧ほっかほか亭で弁当を買う。テレビCMで気になっていたのでカキフライ弁当にした。
ところがである。運転していたスタッフが顏色を変えた。
「え、まさかのカキフライ弁当すか? ナースが心配してましたよ。」
まじですか。
どんぴしゃで注文してしまったよ。
「だって、テレビCMが美味しそうだったんだもの。」
「そうですか。まあ内緒と云う事で。」
大騒ぎしながら会場に着いた。車椅子バスケットは実は三回目。
まだ東京に住んでいて、躰が動いていた頃に帰省した折に家族で観に行ったことがある。そのときのことはこのヒトリゴタクの昔のログに書いていあるはずだ。確認はしていないが大会自体が始まったのが2002年らしいので多分その頃。
その頃は、自分が車椅子でまた観に来るようになると思つても見なかった。
車椅子バスケットは凄い。男女は混合で、速い。烈しい。
車椅子が倒れることもあるけれど、自力で起き上がる。車椅子が倒れると、起き上がるまで、はっきり行つてそつちの方が気になる。
試合は日本VSオーストラリア。
3クオーターに入り日本が逆転したところで、同行した入所者がショッピングに行きたがったので、会場を後にした
ショッピングセンターのフードコートでお弁当を食べショッピング。
第一目的は父親の誕生日祝。
わたし的には、父親はいつもポロシャツを着ているイメージがあるので、ロックな服を贈ろうと思った。だが、スタッフさんに「ロック? お父さんはいい年なんやけ。可哀想よおとうさん。」と云われたので、ポロシャツとロックの中間ぐらいを目標する。
ショッピングセンター内を電動車いすで回りながら、長袖ティシャツとベストジャンバーをコーディネートして選んだ。
ちょっと値は張ったけど喜んで貰えたら嬉しい。
勢いに乗じて恋人への誕生日プレゼントの追加も買った。紫蘇田さんに「もっと大人のお金の使い方を覚えり。」と云われたので。
こちらは、わたしが元気だった頃によく買っていた様なロックな紳士服の店である。こういう店に入ること自体久しぶりなのでなんだか嬉しかつた。
健康だった頃わたしは結構紳士服を着ていたのだ。こちらも気に入ってもらえるといいな。
施設に帰りわたしの荷物を見た紫蘇田さんが一言。
「ミカヅキさん、なんか勘違いしていない? 車椅子バスケットに行かせたんやけ。で、日本は勝ったん?」
結末は観ていない。答えられずに居ると、紫蘇田さんが言葉を重ねる。
「ミカヅキさん。日本は勝ったん。?」
三回ぐらい訊かれた。あげく紫蘇田さんは叫んだ。
「日本代表の試合を放棄して、ショッピングに行くなんて、お前らみんな国賊だ!」
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