トイレは哲学的な空間だと思う。トトイレに入ると思い出すことも多いし、考えごとにも適した場所だ。
しかし、今、わたしがトイレに入る度に思い出すのはもっと直接的なことだ。
トイレの隅で容器と紙袋と更にはビニール袋にまで包まれ、もう2日以上放置してある検尿。
木曜の朝、結局すっぽかした健康診断の為に採った尿。健康診断自体は翌金曜の午後に受けたのだか、さすがに怖くて(だって何か変な細菌とか増えてそうなんだもの。そんなんでひっかかりたくないし。)それは持って行かずその場で採り直したのだ。そうして忘れられた検尿の尿だけが我が家のトイレに残された。
それからずっとそのまま…。
その中で一体何が起こっているのか。考えるだに恐ろしい。
捨てなければと思いつつ、開けてみる気にもなれない。
そしてトイレの隅で、今この瞬間も、静かに、けれど確かに熟成はすすんでいるのだ。ひたひた、ひたひた、と。
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