[気配]

ひとりきりでいると、よくあるのだけど
誰か、入ってきた気がする。

玄関の扉が開く音がした気がすることが多々ある。
現にいまも。

だけど、考えにくいことだ。
鍵ならたしかに外にある。
が、わたし以外の誰かがいないとも限らない。
介助者はある程度、把握できるかも知れない。
が、わたしでも掌握できていない、合い鍵で入ってくる家族は予測不可能なはずだ。

orわたしが妄想的になっているのか?

市営住宅の壁はうすいのかも知れず、
周りの物音をわたしが過剰に拾いすぎているだけなのかも知れない。
そっちのほうが説明としては自然だ。

けれども、
今度は別の疑惑が生じてしまう。

すなわち、自分の精神状態が危ぶまれると云うことだ。

どうしよう。

幻聴・幻視が起こりはじめているのだとしたら?

どうしよう。
どうするべきだろうか?

37.6℃の熱発よりも
つづいている吐き気よりも
わたしはわたしの脳がこわい。
或いは、ココロが心許ない。

気配の正体は案外、自分自身なのかも知れない。