HYDE「FAITH」/ミカヅキカゲリ
日本っていいなと思うのは、例えば、HYDEのニューアルバムFAITH。
これは日本だからできることだよな、と思う。FAITHというタイトルが出てきた瞬間に、おお、HYDEさん本気だ、と思ったけど、本気を出されるとやばいんだと聞いてみて実感。ごめんなさい、完敗です。
まず、かっこよすぎるのだけど、なにを云ってるのかが躰に入ってくると鳥肌が立って、そこで初めて歌詞カードを見たら、泣いてしまった。
やばすぎる。
だって、英語八割日本語二割くらいなんだけど、歌詞カード見たら英語部分に対訳つけてあるんだもん。HYDEさん、どこまで本気なんだ……。
あなたの詩にもあなたの歌にも、わたしはとりあえず昔からいつだって完敗してるのに、そんなに本気でやられたらもうどうしたらいいか分からないよ。
遠まわしな表現とか言いたいところはわざと日本語ぢゃなくしたりしてた照れ屋さんぢゃんなかったの?
あなたの表現力で、しかも直接話法でやられると、もうわたしはどうしたらいいんだ。英語にまで対訳ついたらもうすべてが伝わりすぎだよ。
というわけで、アルバムFAITHがやばすぎ。カトリック過激派がボイコット運動とかしないのが不思議だよ。
全部通して聞くともう完璧なのだけど、例えばオープニングがいきなり「JESUS CHRIST」という曲で、その曲一曲だけでももうやばい。
この曲は全部英語詞なのだけど、ふつーに聞いていてもやばすぎる。
歌詞を見てもやばすぎる。
対訳はさらにやばい。
わかりやすいけど、やばい。
神よ、私は信じている
深い信頼、決して貴方を疑ったりしない
皆に狂っていると言われてもかまわない
私が死んでも それは変わりはしない
神よ、私は信じている
深い信頼、決して貴方を疑ったりしない
でも罪無き我が子の命が尽きようとしています
必死に問いかけても祈りの答えは戻りません
我が声よ天まで届け
この子の命を救えるなら何でもするでしょう
どうか私を身代わりにして
ああ、神よ、私に死を与えたまえ
神よ、私は信じている
皆に狂っていると言われてもかまわない
私が死んでも それは変わりはしない
我が声よ 天まで届け
この子の命を救えるなら何でもするでしょう
どうか私を身代わりにして
ああ、神よ、私に死を与えたまえ
ああ、神よ、私に死を与えたまえ
だぜ。
やばすぎる。
なんて率直でなんて根源に根ざした歌詞を書くのだろう。
信じられない。
これでまずガツンとやられて、続く歌がどれもやばくて、もうやばすぎて引用もできないのだけど(苦笑)、COUNTDOWN、MADE IN HEAVEN、ICAN FEEL、SEASON’S CALL、FAITHときて、DOLLY。
DOLLYも日本ぢゃなきゃできなかったなと思わせられる歌。
これは、発売前にMCで「羊の歌です」と本人が云ってたらしいけれど、本当に羊の歌(笑)。
これも全部英語詞で英語を眺めるだけでもぞくぞくする素敵な歌なのだけど、ここでは対訳を。
時間の問題だろう科学者たちが
人工知能に魂を埋め込むのも
兵器の進歩は
科学という名の信仰
君をこの世界に連れ戻すことができるなら
どんな規則も破るだろう
機械と地獄へ落ちようとも
かまいはしない 愛の為なら
それは美しく何処までも高い強力な塔を建てる
テクノロジーを駆使して新たなバベルを建造してゆく
イギリスで作られたクローン
彼女の魂は何処から来たの?
もうケルビムを倒す必要もないだろう
それは神の誤算
君をこの世界に連れ戻すことができるなら
どんな規則も破るだろう
機械と地獄へ落ちようとも
かまいはしない 愛の為なら
それは美しく何処までも高い強力な塔を建てる
テクノロジーを駆使して新たなバベルを建造してゆく
“わたしのなまえはドリー
どうしてわたしはつくられたの?
ねえパパ おしえて”
どんな罰を受けようとも
口に出来ない罪を犯しても
関係ない
君をこの世界に連れ戻すことができるなら
どんな規則も破るだろう
機械と地獄へ落ちようとも
かまいはしない 愛の為なら
それは美しく何処までも高い強力な塔を建てる
テクノロジーを駆使して新たなバベルを建造してゆく
好きすぎる。
人工知能もクローン技術もサイボーグ技術もロボット技術も、全部好きです。それに加えて、バベルとかケルビムとかまで出されたらもう悶え死ぬよ……。
で、そこで、とても美しいPERFECT MOMENT(歌詞も美しすぎて死にそう)がしっとりと入り、一転してダンサブルなMISSIONが「Come on dance with me」とはじまるのだけど、この歌を歌い踊ると世界は平和になるんぢゃないかと思う(笑)。
お見事。
これは英語かと思いきや4行くらい日本語。なので対訳だけ載せても意味がないし、どうしよ。
まあ、やっぱり原曲を聞いたほうが素敵なのでここでは日本語で(カッコ内はもとから日本語)。
俺と踊り明かそう
必要なのは極上の喜び
体は音に任せ
(殻を脱いで自然体になる)
あらゆる悩みを捨てろ
(関係などない君の色 信仰だって好きでいい
辿ればそう、同じ遺伝子 輸血だって可能さ)
視点を高くするだけでいい
難しくないさ もっとまともな方法はあるだろう?
壁はない抱きしめよう 一つの地球を
音楽に導かれ 銃をギターに変えて
調和を奏でよう 簡単なことさ
さあ俺と踊ろう
防壁を壊す音楽
重力を脱ぎ捨てて
(感覚をそう、研ぎ澄まして)
音の波にサーフィンしよう
俺たちは一つになれる
難しくないさ 心を開いて愛し合おう
ある朝僕はとてもリアルな夢を見た
皆、気づいたんだ 歴史の悪循環に
僕等は走り出す 同じ使命を持って
目的地へ辿り着き 夢を掴み取る!
壁はない抱きしめよう 一つの地球を
壁はない抱きしめよう 一つの地球を
音楽に導かれ 銃をギターに変えて
調和を奏でよう 簡単なことさ
さあ俺と踊ろう
さあ俺と踊ろう
究極の反戦ソングだね。
でもこれで美しく終わらないところがこのアルバムのすごいところ。
ラストは再びハードロックに戻り、IT’S SAD。
これはもう、聞いてもらったほうがいい気がするので、タイトルが何処から来ているかだけ。
The ground will find some peace when we’re gone It’s sad
哀しいことにわたしもまったく同感だ。
この曲の最後はまた切ない。
Once more, the hunting season
We shoot at will Why does God permit it?
ときて、もう一度サビが繰り返される。
Rewind the times so crazy
What right have we to kill? Full of conceit
The worst creatures in history
The ground will find some peace when we’re gone It’s sad
……ごめんなさい、としかもう言葉がないです。
やられました。ごめんなさい。
ちなみに、この流れでわたしが思い出したのは、大好きなアルセーヌ・ルパンの言葉。
「いい大人がか弱い小鳥を集団で打ち落とすような残酷な遊びにどうして夢中になるのだろう」
みたいなことを恋人のクラリスにつぶやくエピソード。
後のアルセーヌ・ルパンことラウール二十歳。
シリーズでも名高い「カリオストロ伯爵夫人」の冒頭。
100年前からわたしたちは進化なんてしていないのだ。
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