今日のおやつはどら焼きだった。だけどおやつを食べようとしたらなかった。錠野さんの分を一つだけ取っていて其の一個だけしか残っていないのだ云う。
厨房に取りに行ったのだけど、残っていなくて、猪口くんがゼリーを持って上がってきた。
「ちょっと待って。錠のさんに交渉してみるけ。」
わたしはパソコンをしながら待っていた。猪口くんが錠野さんと交渉しているのが聞こえてきた。
「錠野さん、ゼリーじゃだめ? どら焼きが残り一個しかないんよ。」
「取ってあるんじゃないの?」
「そうなんだけど何か足りんのよ。ミカヅキさんも食べてないし。」
「どら焼きがいいわ。」
こうしてわたしのおやつはなくなった。
「チンしてちょうだい。」
錠野さんは、ご丁寧にもそんな注文を付けていた。
猪口くんが、
「どら焼きぐらい俺の給料で買ってきてやるけ。」
と云っていた。