[遊びの範囲]
「遊びのつもりだったんだ、ごめん」
折れてしまったユカちゃんの鉛筆を前に、
わたしは力なく謝った。
折れてしまった鉛筆はどんなに謝ってももう二度と戻らない。
不可逆的変化ってやつを学んだ小3の夏。
「遊びだったんだ、ごめん」
夏の終わり、唐突な別れ話。
わたしがユカちゃんにしたこと
彼がわたしにしたこと
彼のことは責められない
同罪だもの。
だけど。
わたしはポッキリ折れてしまった。
あの日、ユカちゃんの鉛筆がそうだったみたく、
わたしは見事に折れてしまった。
***
顔色が最近違うなー、日焼けしたのかなと思っていたのですが。
食事をしていたら主治医がやってきて
「ミカヅキさんちょっと」
「はい?」
「最近だるいということは?」
「あー、だるいですけど」
「実は肝臓の数字が悪いんですよ。まあ今すぐ危険って程ぢゃないんですが」
「あー、」
顔色、日焼けぢゃなかったのかー。
ちょっと納得。
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