最近の衝動買い「バッハ マタイ受難曲/ヨハネ受難曲(5枚組)」と「ジョゼフ・マクマナーズ イン・ドリーム」。
マタイ受難曲はめちゃめちゃ好きで音源がほしかったのでまあ衝動買いしてもいいのだけど、ジョセフ・マクマナーズはもう直感買い。視聴もせずに、曲目だけ見て買ってしまった。
イギリス大熱狂、みたいな帯を見て、きっと外れはないと思ったので。(イギリス人って相当ミーハーなんぢゃないかと思うけど、でも子供の才能を見抜く目とそれを育てる姿勢は確かな気がしている。)

1. Bright Eyes
2. Pie Jesu
3. In Dreams
4. Psalm 23
5. Walking In The Air
6. Panis Angelicus
7. Circle Of Life
8. Lullaby
9. Music Of The Angels
10. Candelight Carol
11. Morning Has Broken
12. Where Is Love
13. The Little Prince Song
14. Somewhere Only We Know

このラインナップを見て、わたしが買わないわけがない、と思う。
クラシックだけ見ても好きなものが入りまくりだもの。
2と6と8(ピエ・イエズと天使のパンとブラームスの子守歌)だけでも、買ってみると思うのだけど、9(ベートーベン「悲愴」)って! おいしすぎ。

でも、決めては、5.
この歌がわたしはこの上なく好き。
英語のものでは、ボーイソプラノの中で屈指の名曲だと思っている。というか、クリスマスソングとしてもう最高。 アレッド・ジョーンズの録音を手に入れるのに、異常に苦労した一曲。(レコード会社が毎年出すような、クリスマス・オムニバスアルバムに入っているのをようやく見つけて、レンタル店を探し回った。)
そんなわけで、「ウォーキング・イン・ジ・エアー」を聞いてみたいがために買ったようなもの。ていうか、わたしのための選曲?って思っちゃったくらい。

そして大当たり☆
というか、やばい。この歌声が発見されるイギリスはやっぱりすごいと思った。鍛えられているわけでもない、本当にまっすぐな歌声。

http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/SR/JosephMM/SICP-1070/index.html
ここで視聴できます。
一曲目始まった瞬間に、わたしは自分の直感に感謝した(笑)。

わたしが今こうやって役者やったり歌ったりしている原点は、たぶん、ミュージカルなんだけど、その中で一番好きで、ずっと歌ってたのが、映画「オリバー」。「アニー」でも「キャッツ」でも「ウェストサイド」でもなく、「オリバー」(笑)。
それから、じぶんでCDを買うようになってウィーン少年合唱団をまず買うのは、なんとなくわかる気がする。わたしの歌の原点は(一緒に歌って練習した)、なので、ウィーン少年合唱団なのだけど、それ以前をさかのぼるならオリバーかもしれない。
ジョセフが世に出るきっかけが、舞台オリバーの主演というので、買ったというのも大きい。

なので、経歴読んでるとぞくぞくするくらい好み。というか羨ましすぎる。
>ジョセフは1年ほど前「オリバー!」の主役を務め、1968年の同名映画でフェイギン役を演じた伝説の俳優、ロン・ムーディと共演した。デビュー・アルバムのリリースに伴う次の大きな出演は、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われるクラシックFMのコンサート。アレッド・ジョーンズやジョシュア・ベルと共演する。

あのオリバーと共演してるだけぢゃなく、アレッド・ジョーンズとまで? 何この子、そんなことがあっていいの?みたいな(笑)。一日でいいから代わってほしい、くらいに有り得ない12歳(アルバム時点。今13歳らしい)。
そんな羨ましすぎるのに、さらにルックスまでいいのだから、もう完敗。そりゃイギリスも熱狂するわけだ。でもそのおかげでこれが音源としてわたしに届くのだからありがたいことだ。
こういうのは巡りあっとかないと、大変なのだ。アレッド・ジョーンズとか軒並み廃盤になってるのって頭おかしいんぢゃないかと思うけど(笑)、今の流通システムだとCDとか本は貴重なものほどすぐ手に入らなくなる。

というかルックスよりわたし的には歌い方のまっすぐさにやられた。歌詞カードいらない明瞭発音。さすがミュージカル育ち。聖歌隊育ちでは絶対に出せないある意味でのまっさらな発声。声の場合鍛えちゃうと出せない音色というのがあるわけで、そこも見事。

***

一番好きな作曲家は、と聞かれたら、メンデルスゾーン、と答えることにしている。
旋律とか和音だけで泣きそうになるような声楽曲を書いているからだ。歌うだけで泣きそうになる。
メンデルスゾーンさんの作るものがすきというよりは、たぶんメンデルスゾーンさん自体と趣味が合うんぢゃないかと思うくらいに揺さぶられる。

ふりえら氏がわたしを描いた「カナリア」という歌の世界観が白夜氏には伝わらないっぽくてちょっと二人が困っていて、わたしが翻案することになったのを考えていた。
ふりえら氏の発想はとてもわかりやすいけど、ちょっと表層的過ぎる気がして、わたしならこんな物語にするな、と思ったもの。
それで、キーとなる主人公がそれと知らずに歌いつづけるうたが、メンデルスゾーンの「鳩のように飛べたなら」になってしまって(笑)。まあわたしも安直だけど、どうしてもそうなってしまったのだ。

カナリアぢゃないぢゃん! 鳩になってるぢゃん!
とセルフつっこみしつつも。

長崎にいっぱい残っている隠れキリシタンのお祈りみたいに、あれも日本語(というかまじない言葉?)にならないだろうかと思いながら、アレッド・ジョーンズが歌った版とウィーン少年合唱団のかなり古い録音を探し出しながら(もうひとつ、BOYS AIR CHOIRの英語版もうちにはある)いろいろ連想していて。

そういえば、わたしが手に入れた「マタイ受難曲」だって、メンデルスゾーンがいなければ、今こうやって気軽に聞けてないかもしれないわけだ。(たしかメンデルスゾーンが幼少時に祖母からクリスマスプレゼントでこの楽譜を贈られて、大人になって周囲の抵抗を押し切って忘れ去られていたこの曲をやってくれたおかげで、バッハがみんなに再認識されたというのを思い出した)

ベートーベンだって、今なおこれだけポップなのは、メンデルスゾーンのおかげもあるんぢゃないかと思う。

でもそんなメンデルスゾーン自体も、生きているうちはもてはやされたけど、死後相当バッシングされて(ユダヤ人で裕福な出自が裏目に出た)長い間演奏もでき
なかったということもある。

そう考えるとメンデルスゾーンの音楽が残っているのもある意味ギフト。いまここにわたしが生きていることのタイミングを考えさせられる。
たった200年でも、それだけ、財産が失われないことは難しい。
難しいけど、伝え続けることはできる。

メンデルスゾーンは、だから、好きな作曲家。

***

そんなわけで、ジョセフとマタイ受難曲のために、1週間くらい飢える羽目になっても、まあいいかと思うくらい幸せになれるのも、いまここぢゃなきゃなかっただろうな現象。
たまさかなはなし。

いま、わたしの手持ちは200円もないくらい。手持ちというか全財産(笑)。今日の交通費だけしかない。
でもマタイ受難曲が何時間でもわたしの血を駆け巡らせる。なんていう贅沢。

こんなことやってるとしんぢゃうけど、こんなことやってないとしんじゃう。
それはもう仕方ない。
そう思えるのはメンデルスゾーンのおかげ。

Ich bin müde, schrecklich müde
って明日しんぢゃってもまあいっかと思える。
仕方ない。
まあできる限りがんばってみるけど。