20051222235112
わたしはこの心持ちを一生忘れないだろう。
シンポジウムをやった。いろいろ考えさせられた、けど、そんなの何でもないんだ。
帰り道、大道芸人がいた。人形を操って見事にバイオリンを弾かせていた。
思わず足を止めてみとれた。
彼もわたしの存在を認めて、芸をやってくれた。
わたしたちの間に確かに暖かい交流があって、お互いにそれを感じたし、満ちた時間を作り出せた。とてもたのしかったし、この上なくうれしかった。
だけど別れ際、わたしはどうしてかお金をあげられなくて。代わりに何かあげたいと思ったけど飴一つとかしかなくて、それで彼ががっかりするのは怖いし。
結局わたしにできたのは、こっそり振った手と控え目な笑顔だけ。
彼も他のお客さんの目を盗んで手を振り返してくれたけど、笑顔もくれたけど、だけど、どこか淋しげな目をしていた。一瞬見たその顔がやけに心に残って。
わたしが彼にあげられたものはなんだろう。
彼が望んだものはなんだろう。
何かあげられたら良かったのに。
それで帰れなくなって渋谷のカフェで号泣。
交流の悦びと、別れ際の切なさがどちらも強すぎて…もうどうしようもなくなってしまった。
満席のエクセルシオールの客が一様に引いてたけど、一人で号泣。
まったく脆い。
だけど。
一生忘れないだろう。
忘れないだろう。