(つづき)
たとえ、限られたひとしか救えなくとも、たったひとりが先に進む、そのことが人類全体に派生するとわたしは信じている。
そのたったひとりの氷山の下のほうから叡智が解け出し、海水に流れ込んで、すべての氷山に影響を与えることができると思うのだ。
人類全体…地球規模でベースアップがはかれる、とでも云おうか。
だけど、ミクロでありマクロであるその感覚までは分かってもらえない。
まあ、無理もないとは思う。彼女は現実社会のひとだ。対するわたしは精神世界のひとなのだ。
何度も相談しようと思ったのだが、それが分かるからこそ、結果的には今まで話せずにきたわけだし。
一通り話を聞いた講師は途端に上機嫌で「やっぱり大きい思想を持たなければだめだと思う」と他のひとを諭し始めた。
なんだかなぁ、と思う。うまく云えないけど、なんだかなぁ。
なぜだか、いろんな伝承や神話に登場する「宝を探す旅」というモチーフを思いだした。
宝を求めて世界中を旅して、やっと探り当てて辿り着いたのは、自分が後にしてきた自分の家だった、というもの。
宝はいつでもそこにあるのだ。
ただ、旅の前の自分には見つける力がないだけ。
本当に手にするために、「旅」を越えなければならない。
わたしはどんな旅をしようか。
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