一心不乱に絵を描いてみた。手術から帰ってきて、痛みから意識をそらすためにも。スキャナ席（大学PC室）の前でプリンタ用紙にさっさーっと下書きをして、取り込んで、色を塗り重ねる。
夏っぽいイメージを意識して描いていたのだが、背景を星空にした辺りからどうも冬の気配が…一応、夏期休暇中の雪女さんなのだと思うことにする（強引）。
そもそもモデルが雪女さんなのがいけないのかもしれない。
まあ、冬にも使えそうな一枚に仕上がった、ということにしよう。
雪女さんが首から下げているのは、わたしが昨日貰った合い鍵だ。
合い鍵を貰う、という行為を悦ぶのは、身も世もなく愚かなことだと思っていたのに、実際に貰ってみると、とてもうれしいのだ。
｢愛人みたい｣
と無邪気に喜ぶわたしに、｢愛人には合い鍵を渡さない方がいいんだよ｣と鍵の主は釘をさす。
でも、いいのだ。
信頼と許容の証しだと思うから。
なんて心の広い人なのだろう。
うれしいので、肌身離さずにつけている。
こどもっぽくて、やっぱり愛人みたい。
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