わたしは早く弟に会って癒されたいとばかり思っていた。自分のことばかりを考えていたんだなあ、闇の中弟の寝息を聞きながら反省した。
弟だって何かを求めてやってきたのかもしれないのに。
わたしはいつも与えさせてばかりいる。

今日だってほんとは一緒に東京で遊ぶはずだったのに、朝、わたしの具合があまり良くなかったので出かけるのをやめたら、弟は東京に泊まる予定をキャンセルして一人でここまでやってきてくれた。おいしい芋羊羮とたくさんの素敵な中国土産をくれたし(カップ麺とかペットボトル入りの甘い烏龍茶とやっぱり甘い緑茶とか落ちてゆく男の人とか。落ちてゆく男の人は窓ガラスに貼り付けて遊ぶ。)、お茶碗も洗ってくれた。
なのにわたしときたら、してあげたのは、カレーを温めて盛り付けたのと「世界の崖て」に案内したことぐらい。「世界の崖て」というのは、とにかく真っ暗でだだっ広いただの田んぼだ。わたしはそういう風景を知らずに育ったので、最初に見たとき、余りの暗さ、余りの何もなさに「世界の崖てに出てしまった。どうしよう。わたし何か悪いことしたかしら。これはきっと虚無(ネバーエンディングストーリーの世界に襲いかかる恐ろしい破滅)だ」と本気で動揺したのだ。
わたしはこんな場所は地球上でここしかないと信じこんでいたのだけど、だから自信満々で連れてきたのだけど、それだって自分のペース、自分の思いつきでしかない。現に弟は「奈良みたい」と言っていたし。そのときは「何ぃ?姉より経験値が高いなんて許せん」と内心憤慨したものだけど、つまりは別段珍しくも何ともなかったということだ。

明日はもう少しきちんと、いいお姉さんでいたい。それは決して姉らしくということではなく。
独り善がりぢゃなくて、ちゃんと付き合いたい。
そして一緒に愉しく遊ぼう。おぅ!(←ひとり決議)