いっぱい嘘をついて、献血に行こうとした。
たとえば名前、たとえば生年月日、たとえばアレルギーがあること。
そういうのを隠してでも、どうしても献血に行きたかったのだ。

どうせ血を見るなら、献血か血液検査にしなさい、そういわれたせいもある。
わたしは、チューブの中を走る血液が好きだから、それですこしはリストカット欲求からも開放されるだろう、そう思ったせいもある。

けれど、腕の湿疹を理由に、またも献血を断られてしまった。
これで三回目。

世界が閉ざされた。
そう宣告されたように感じた。
これが治ったらまたきてください。
そっけないおばさんの対応も、なにもかも、わたしの世界を閉ざす。

結局、わたしはふらふらと献血ルームを出た。
わたしが死んでもわたしの血が生きる。
その素敵な思いつきさえ、無になってしまった。

帰りは自転車さえ重くて、普段なら20分の距離を一時間近くかけて帰った。
もう本当に帰り着けないかと思った。
道は湾曲し、伸びて感じられ、自転車はどこまでも重かった。