連日、Ｗ杯をめぐる熱戦を観ているうち、空席やチケット売り出しのニュースを見ているうち、
わたしもスタジアムに行きたくなってしまった。
奇遇にも、友人からもそんなメールが届く。
これは行くしかないんぢゃない？
さっそく、友人と共同戦線を張る。なにせ、一生に一度だ、日本でのＷ杯なんて。
ネットでも何度も挑戦するが、全然繋がらない。これは電話販売にかけるしかない。
狙うは日本-ロシア戦のチケット。決戦は正午。
さっそくネットで横浜のスタジアムまでのアクセスを調べる。日曜は夕方まで浦和だから、いったん東京に戻って新幹線に乗るか…もうすっかりその気。
…が、一向に繋がらない。J-PHONEやNTTのアナウンスばかり。
昨日の友人も協力してくれ、太陽が苦手なわたしに代わり電波の悪いわたしの電話（J-PHONE）を外で掛け続け、わたしは彼女の電話（TU-KA）を使う。
リダイヤルリダイヤル。
繋がった！！！一気に全身を震えが走る。どうしようどうしよう。
…けれど、確かに出たはずなのに、何も聞こえない。
でもこのチャンスを逃したら、もう絶対に繋がらない気がする。
慌てて友人を呼ぶ。「なんか、繋がったんだけど、何も聞こえないの」
彼女も色めき立つ。「えっ！！かして！！」
彼女は電話を受け取り、耳に当てた後、ディスプレイの表示を見て一言。
「これ、友達じゃん…。どこ掛けてんだよ…」
どうやらリダイヤルの時に、履歴の二番目の人に掛けてしまった模様。
一気に力が抜ける。へた～～。
その数分後。今度は彼女の方に異変が。
「ねえ、翠。なんか、呼び出してるんだけど…」
「えっ！！」慌てて電話を奪い、耳に当ててみる。
ほんとうに呼び出し音だ！！！ 長かった～、この道のり！！！
…けれど、いくら呼び出しても、サッパリ出る気配がない。これはおかしい。この緊迫した時に、オペレーターさんがこんなに長くほったらかすわけはない。
……も、もしや…。おそるおそるディスプレイを確認。
！！！
「ちょっと～、これ、声楽の先生だよ～…。チケット2枚ください！！て云うとこだったぢゃん！！」
…まあ、お互い様、ではある。
結局、その後2時間半くらい粘りつづけたものの、ついに呼び出し音は聞こえず、ニュースで発売開始後わずか20分で完売したことを知るのだった。
ああ、悔しけり。
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