とにかくねむねむ。朝まで小道具を作っていて、ほぼそのまま仕込みに突入。そして場当たり・着替え・メイク・ゲネと怒涛のスケジュール。ゲネ終了時には開場時間が迫っており、けれどもまだやることは大量にある。焦る焦る。ラスト仕様になっている舞台を最初のシーン用に戻して(この時点で客入れ。ここからは開演までは30分の勝負)衣装や小道具を確認し、メイクを直し、ゲネでの変更点を確認…そしてみんなで円陣を組み「エイエイオー!」。舞台が始まる。

あとは、流れに乗る他はない。幕が上がれば、そこはもう「マンザナ」の世界。登場人物として、世界や周りの人々と関わりながら必死に生きるだけだ。そう云う意味では、もう焦りもなにもない。逆に楽になれる。…はずだった。本来なら。
しかし客入れが始まり、メイク・衣装・小道具を点検し、いざ出陣!と楽屋から一歩踏み出した途端、わたしはとんでもないことに気が付いてしまった。
忘れてた、靴!!わたしの役・ジョイスは途中部屋履きに履きかえる。そちらを履いたままで、なんと、登場シーンの靴は舞台の上!!
もう半泣きモノである(←普通に繊細なひとだったら)。なにしろ、客席にはもうお客さん、おまけに今回の舞台は装置の関係で緞帳が閉まらないのだから。
結局、一場の途中にさりげなくベットの下を探してもらい、暗転中に袖まで持ってきてもらうことに。ちょうどスパイ役の空豆さんがいたこと、さらに私の出番が暗転後の二場からだったことが幸いして、何とか事無きを得た。

その後はゲネのボロボロっぷりは何処へやら、ほぼノーミスでこのまま順調にラストまで…と思いきや、またもややらかしてしまった。ラスト近くのクライマックスシーンで、見事に3ページ台詞を飛ばしてしまったのである。
瞬間、あ!と思ったが、もうどうしようもない。私は涼しい顔で突っ走り、周りも合わせる他はなく、そうして劇は終わった。おそらくお客さんは、なんだか一気に話が解決したなぁ…と首を捻ったに違いない。しかも、その3ページには、空豆・チャオリンの一世一代の名台詞があったのだ。出だしであれだけ迷惑を掛けておいて、さらに台詞を飛ばすなんて。空豆さん踏んだり蹴ったり…。ほんとうに、ゴメンナサイ。

けれど、やっぱり、ジョイスとして(辛いものであっても)生きられて幸せだった。